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ヨーロッパ鉄道堪能の旅
2003年8月10日〜19日

8月10〜19日にかけて行ってきたヨーロッパ鉄道堪能の旅のレポートです。これは8月18〜19日の分です。19日に帰国しました。

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8月18日(月) バッキンガム宮殿〜帰国


今日はいよいよ帰国の日である。8泊10日の旅もいよいよ終点に近づいてきてきた。
朝食をとった後、午前中はグリーンパークを抜けて、バッキンガム宮殿の衛兵の交替を見たが、大混雑でほとんど見えなかった。だが、2人づつ前に出てきて礼をしている衛兵たちの赤い服と背の高い帽子がなんともかわいくて、印象深かった。

さて、しばらくするとバッキンガム宮殿の門が開いて、衛兵のブラスバンドが演奏しながら外に出てきた。このあと、宮殿のそばを、音楽を奏でながら行進して戻ってくるのだが、なんとも快活なマーチで見ているこちらも楽しくなってくるようだった。

セントジェームズ公園脇を通る衛兵達。こんなに目の前で見られたのは初めてだった。
その後は、昨日行ったセントジェームズ公園で、弟がハトにエサをやった。僕がユーロスターで食べようと思って楽しみにしていたマドレーヌは全部ハトのエサになってしまった。でも、この公園では他にも、エサをやっている子供がいたから、ここは水鳥や野鳥とふれあう場所として定着しているのかもしれない。右手には池もあり、カモが泳いだり、岸に上がって寝たりしていた。
ここは、人間にとっても」、ハトや水鳥にとっても、すばらしい場所だと思う。

セントジェームズ公園を少し行ってから、バッキンガム宮殿からまっすぐに伸びた通りに出ると、ちょうど衛兵が相変わらずマーチを奏でながらこちらへ向かって歩いてくるところだった。

車道の上を歩いてくるので、すぐそばで見ることができる。何枚か写真を撮った。ふと見ると、衛兵の後ろには何台もの自動車がゆっくりとついてくる。衛兵の行進の時には、一般の自動車も後からゆっくりとついてこないといけないが、女王様の宮殿を守っている兵隊たちだから、誰も文句は言わないようだ。

* * *

実は、僕は紅茶が好きである。イギリスは紅茶の国と言うくらいだから、僕はさっそく有名な紅茶の老舗「フォートナム&メイソン」を訪れてみた。なるほど、紅茶専門店だから、品物の棚は紅茶が大半を占めている。驚くほどさまざまな味や種類の紅茶が揃っていて、一口に「紅茶」とは言えないほどである。「Breakfast」「RoyalBlend」「QueenAnne」など、ブレンドが多数あるらしい。両親は自分たちのお土産用として、これの中から、小さな箱の詰め合わせを買った。日本円でしめて4000円ほどかかったが、帰国してから実際に飲んでみると、4000円払った甲斐があると言えるほど、美味しいものだった。

お昼時になってきたので、ファーストフード店のような軽食カフェテリアで、たまたま売っていた「Sushi」を食べることにした。
外見は「寿司」だが味は全然違う。ワサビが全然辛くない…(笑)
確かに、一応外見だけは寿司だが、味はぜんぜん寿司ではなかった。まず、寿司のネタが茹でたエビとサーモンだけであり、なおかつ海苔巻に巻いてあるものも、寿司のネタと同じである。しかもご飯はバサバサで、酢の味が全くしない。イギリス人はこんなものを「寿司」だと思っているのだろうか……。もし彼らがそう思っているなら、僕は日本の本当の「寿司」を食べさせたいものだ。食べている途中、隣に座っていたサングラスをかけた大柄な男性が興味深げにこちらを眺めている。日本人観光客とみられる人が、ロンドンで販売されている「寿司」を食べているので、食べてみてどんな反応を示すのか、かなり興味深いのだろう。そう思っている人にこそ、先述したことを言ってやりたいものである。

「ロンドンのSushi」を食べた後、僕たちはホテルに戻ることにした。今晩はいよいよ帰国だから、スーツケースの荷物をまとめるためと、あとはホテルでゆったりするためだ。今回利用した「パークレーン・シェラトン」では、無料でチェックアウトを午後5時まで延長できるというキャンペーンを実施していたので、午後もホテルの部屋でゆっくりすることができる。戻ってくると、ベッド類のリネンもきちんと整えられ、きれいになっていた。荷物をまとめて靴を出し、出発の準備はとりあえず完了した。

荷物をまとめ終えた僕たちは、携帯用湯沸かし器でお湯を沸かし、ティータイムにすることにした。今朝、朝食時に出てきたパンが、かなり残っていたので、それを食べたが、あまり甘みもなくて、薄味好みの僕にはありがたいものだった。

午後4時、遂に最後のホテルをチェックアウトした。ここからはホテル前のグリーンパーク駅から地下鉄ピカデリー線で、一路ヒースロー空港へ向かうのである。地下鉄内は、空港に向かう乗客でかなり混雑していたが、途中駅でどうにか空席が出てきたので座ることができた。

* * *

さて、ここで小ネタをひとつ、紹介したい。
車内の電光掲示板には終点ヒースロー空港に着く前から折り返し列車の行先が案内されていた。
この地下鉄にはLEDによる文字案内装置が取り付けられていて、聴覚障害の方も助かると思ったが、なんとこの案内装置には、終始「This train is for Heathrow Airport.」(この電車はヒースロー空港行きです)と表示されているだけで、次の停車駅の案内もされない。これではいくらなんでも脳がなさすぎる。日本の鉄道では、たとえばJR東日本の、京浜東北線・横須賀線・総武線などで活躍している新型車両にも文字案内表示装置がついているが、これはしっかりと次の駅の案内もするし、英語の表示も出る上、車両によっては行先まで表示されることもある。また、同じ地下鉄を例に挙げれば、横浜市営地下鉄の最新型3000N系は、案内表示でニュースなども流したりしている。案内装置では日本の方が格段に優れているだろう。

* * *

そんなことを思っていると、列車はいつの間にか地上を走っていた。この地下鉄の車両座席は、日本の通勤型電車と同じような配置になっているが、一人一人の区分があって、区分の間は肘掛がついていた。これは樹脂製のようだが、隣の席が空いていれば完全に身をそちらにもたせることが出来るので、良い設備だと思う。

グリーンパークから約45分でヒースロー空港に到着した。ここからはいよいよ帰国のための航空機に乗ることになる。パスポートの提示や荷物を預けたりした後、本当はビジネスクラスの人しか入れない「さくらラウンジ」に特別に入れてもらって、出発までのひとときを楽しんだ。さすが、ビジネスクラスの利用客が利用するラウンジだけあって、室内は静まり返っている。さっそく僕も熱いコーヒーをカップに注ぎ、ふかふかのソファに腰掛けてしばしくつろぐこととした。奥からは、広い滑走路が見え、空に舞い上がったり、ゆっくりと動いている航空機がたくさん見られて楽しい。 コーヒーを飲みながら、僕はこの静かでリッチな空間を味わった。
静かな快適空間。窓からは離陸を待つ各国の飛行機が見えた。

僕はザックから、日本より持ってきた鉄道雑誌を読むことにした。こんなときでも、とめどなく鉄道雑誌を読もうとする僕は、我ながらよほどの鉄道マニアなのだと実感した。ただ、ここは日本航空のラウンジだから、日本人の利用も多いためか、ラックには週刊朝日や朝日新聞など日本の読み物がかなり入っていた。僕もこれで、鉄道雑誌以外に読み物ができたので、新聞を読んだり週刊雑誌などを読んだりして後を過ごした。

午後7時15分、僕の搭乗する日本航空402便(新東京国際空港行き)の搭乗を開始したとの放送が入ったので、荷物を持って搭乗ゲートへ行く。今回乗るのは、ボーイング747-400で、これは1969年から活躍している初代ボーイング747に、コンピューターや最新設備を導入したものらしい。長距離用に主翼の先が上向きに折れ曲がっている。 ボーイング747型機は、世界最大の大きさを誇る航空機だから、往路のMD11より大きくて、設備も新しい。たとえば、エコノミークラスの座席にも個人用のモニター画面が装備されており、これで音楽を聴いたり、映画を見たり、場合によってはゲームを楽しんだりすることも出来るそうだ。行きと同様、僕と弟はエコノミークラス、両親はビジネスクラスだ。

お盆は過ぎたものの、エコノミークラスは満員で、シートベルトの確認に回る客室乗務員もテンテコ舞の状態だ。19時50分ごろ、予定より5分ほど遅れてJL402便は動き出した。機内放送によると、一部の利用客が搭乗に遅れたためらしい。動き出してから約5分で滑走路に入ると、エンジンの音が機内に響きだし、航空機はすべるように動き出した。19時57分、JL402便は離陸した。

8月10日、日本時間の午前4時40分から始まった「夏休みヨーロッパ鉄道堪能の旅」もまもなく終点に至ろうとしている。 行く前にかなり緊張したこともあったので、これで海外旅行が終わり、良かったという気持ちと、もっと居たいという気持ちが複雑に入り混じって、なんともぱっとした気分にならない。
素晴らしい夕焼け。ヨーロッパの国々ともお別れだ。
窓を見ると、ちょうどロンドンは日が沈んでいくところだった。夕焼けは、僕が今まで見たうちで一番といってよいほど美しい。思わず撮影したのだが、下に主翼が写ってしまったのが少し残念だ。ビジネスクラスとファーストクラスとの間の場所でなら、きっときれいに撮る事が出来ただろう。ベルトサインが消える頃には、外はすっかり闇となり、いまだかすかに下のほうの空が明るいだけとなった。

前に設置されている大型スクリーンではNHKニュースの放送が始まっていたので、肘掛に収納されたリモコンを操作して、個人用のモニター画面にもNHKがうつるようにした。日本ではどうやら冷夏が続いている模様で、農作物にも影響が出ているようだ。しかし、後日驚いたが、僕が帰国した直後からまた暑くなり、しかもヨーロッパは暑い時に行ってしまったという、なんともタイミングの悪いこととなってしまった。
僕がいる場所がちょうど涼しい日はないのかな、なんて思いながら、もうすっかり闇となってしまった外を眺めてみたりする。ロンドン時間の21時を回ると客室乗務員が車内を回って、夕食を配り始めた。今日の献立は以下の通り。

・カレーライス
・そば
・野菜の煮物
・ミニハンバーグステーキ

カレーライスとそばという、かなり変わった組み合わせも面白い。でも、味は今回も上々だった。時計を見ると、既に23時を回っている。見れば、客室乗務員が車内を回って、ブラインドを閉めるように言っている。今日はこれ以降は寝る時間となっているようだ。寝られない人は個人用のテレビで映画やゲームをお楽しみください。
音は肘掛についている端子から、前の座席背面の網袋に入れられている、ヘッドフォンを使えば良いので、ヘッドフォンを持参していなくても安心して利用できる。仮眠をとってからしばらくはゲームをやったりして時間をつぶしたが、やがてそれにも飽きてしまった。オーディオで何か面白い番組をやっていないかなと思って、番組表を見ると「サザンオールスターズ」の音楽を専門に流している「サザンオールスターズチャンネル」というのがあるのを発見し、それを聴くことにした。JALの宣伝用の新曲「雨上がりにもう一度キスをして」も放送されており、結構良い音楽で気に入った。いつかCDなどで聞いてみたいところである。

その後はロンドン時間の午前3時〜4時にかけて寝てしまったらしく、気がついたら既に次の日の5時を回っていた。行きと違って、テレビ画面で映画を見たりゲームをやったりしているためか、不思議と疲れない。

5時10分頃からは、僕お待ちかねの「ブレックファーストタイム」の始まりである。
スポットライトをつけたまま撮ったので見づらいのだが、今日の夕食。
メニューはオムレツとヨーグルトのようなものだけだが、こちらも味は良い。JALの機内食はいつ食べても美味しいと思う。外もかなり明るくなってきた。テレビ画面で現在の位置を確認すると、今はシベリアの上を縦断しているようだ。
しかし、高度11000M、飛行時速1020kmというのはいいのだが、外気温は-55℃あるようだ。さすがにこんな高いところまでくれば-55℃にもなるだろうが、もっと高いところはどれだけ寒いのか、かなり気になる。しかし、気温のほかにもこの巡航速度に驚かされた。巡航速度は1045km/h、あと200kmほど早ければ音速だ。行きにMD-11は最高でも985km/h程度しか出ていなかったのだが、後日「月刊エアライン」にて確認したところによると、ボーイング747は最も巡航速度の速い機体。

後は特にやることもなかったので、またオーディオ装置を使ってサザンオールスターズを聴くことにした。

これから先の記憶は着陸する5時間後くらいまでしかない。帰国するということで、今までの疲れがどっと出てきたらしく、弟の話によれば朝食直後から寝ていたとのことだった。ふと目を覚ましたら、なんとJL402便はすでに着陸して、ゆっくりゆっくり走っているところだった。それにしても、新幹線の普通席と同じような座席でよくぞ5時間も眠れたものである。やはり、よほど疲れていたに違いない。

成田空港には日本時間の8月19日、15時15分、定刻10分前に到着した。時差があるので出発は8月18日の19時25分、それから11時間ほど飛んで8月19日の15時15分だから、かなり時間を無駄した気分になるが、初日がとても長かったので、その逆と考えることにしよう。

預けた荷物を受け取って、成田エクスプレスの指定券を買いに行った。しかし、大船行きの成田エクスプレス号は1時間近く先までなかったため、結局一番早く乗れる「成田エクスプレス28号」新宿行きの指定券を東京まで買い、東京からは横須賀線の普通電車にて戻ることになった。

成田エクスプレス28号は、行きに乗った車両と同じく、座席の向きが固定されているもので、運悪く進行方向逆側の座席になってしまった。とはいえ、具合も良かったためか、今日はなぜか酔わずにすんだ。東京には17時18分に到着、ここで横須賀線の普通列車久里浜行きに乗り換えて大船まで行く。この普通列車は17時27分にやってきた。重いスーツケースを持ち上げて久里浜行きに乗り込む。機内で結構寝たのに、まだかなり眠い。旅行に行く前までは当たり前のように聞いていた各駅の発車メロディーもかなり懐かしく感じる。普通列車久里浜行きは、18時17分に大船に到着、大船から京浜東北線に乗り換えて18時35分、我が家についた。

* * *

次の日、僕はかなり寝坊してしまったが、午後に改めて日本の空に光る太陽を見つめてみた。この太陽が今まで僕の行っていたフランス、イギリスやいまだ雪だらけのユングフラウヨッホも照らしていた同じ太陽なのかと思うと、不思議な気持ちになる。ただ、周りにはユングフラウヨッホやインターラーケンのように冷たくて透きとおった空気ではなく、自動車の排気ガスで汚染された熱い空気が漂っていた。

【完】


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