

2002年7月31日
僕が7月31日に伊豆稲取と横浜の間で乗車してきた、特急「踊り子」112号のレポートをここで紹介します。
最近、「踊り子」の185系は、リニューアル改造を施されて、さらに車内が快適になった。 車体塗色も一新され、今まで斜めの3本帯だったのが、「湘南と伊豆のみかん」をコンセプトとした塗色になり、よりスピード感がでた。185系は、リニューアル車が出てからすでに2年が経過しているが、僕はまだ乗車した記憶がなかった。リニューアル車にも、もちろん従来車にものったことがない。
僕にとって始めての特急長距離利用、それが7月31日に伊豆稲取と大船の間で乗車してきた「踊り子」112号なのであった。今回は、この「踊り子」112号についてまとめてみたい。
1.車内設備は特急なみ
午後3時10分。伊豆稲取駅は静かな雰囲気につつまれている。大都市の駅とは違い、田舎の駅だからしずかなことは間違いない。下には川が流れていて、涼しい水の音が私たちを楽しませてくれる。そんな7月31日、「踊り子」112号が伊豆急下田方から入線してきた。本日は10両編成である。
指定席をとった8号車に荷物を置いて、まず車内を一巡してみる。 自由席は東京方2両10・9号車で、少ない自由席だからさぞかし混んでいるだろうといる予想に反して、自由席は1号車が20人強、2号車も30人強だった。これは、自由席車両が少なく、ほとんど座れないだろう、と利用客が思ったに違いない。その結果を裏付けるように、8号車指定席は僕も含めてほぼ満席、7、6号車も同じ具合だった。3〜1号車の指定席も、15〜25人程度。自由席より指定席の利用客が多い列車など、今回始めて体験する。
車内放送を聞いているうちに定刻15時18分となり、発車。
さすが特急といわれるだけあって、かなりスピードを出しているようだ。
先頭車には「伊豆マリン」と違って展望室がない。
▲普通車の車内はまだところどころに空席が▲ それに、踊り子185系の特徴として、窓が開くことがあげられよう。「踊り子」の185系の窓は、すべて開閉が可能である。僕は窓を開けて、涼しく過ごした。
そもそも185系は1981年、老朽化の著しい153系を置き換える目的で製造されたそうだ。特急としても普通列車としても使えるよう、デッキや乗降用扉を広くしたが、特急として車内設備は183系などに比べると多少劣っていたという。
だが、かつて東海道本線の113系が集中検査に入ったときは、普通列車として走ったこともあるそうだし、「踊り子」としても使用されている、万能車両なのだ。
ところで車内の内装についてだが、普通席は全体的に緑系の座席になっている。壁や客室仕切扉などはグレー系となっており、わりと落ち着いた雰囲気だ。
また、客室仕切り扉は取っ手がついているが自動的にドアが開くようになっており、ドアを開けようとして取っ手を握ったとき、突然ドアが開いたので驚かされた。
15時27分に伊豆熱川に到着。前方の自由席から数人が乗車して、指定席も含めて同じくらいが乗車した。指定席はさらに混んだが、自由席はあまり変わらない。
さて、車内撮影が一段落したので5号車のグリーン車を訪ねてみる。
普通車とは比べられないくらい落ち着いた雰囲気に包まれている。座席色は青系で、普通車より大きい角度でリクライニングができる。リクライニングして座ったときは飛行機のビジネスクラスのような座り心地で、これなら長距離利用もよりゆったりと楽しめるだろう。ただ、中肘掛がないのが残念である。
▲窓を開けた状態▲ 足載せまでついているところが、観光特急らしかったが、これまた残念ながら、その足掛けは常に足を置いておかないと戻ってしまうタイプのため、足をどかすたびにガチャン、という大きな音がして少しうるさい。これを戻らないタイプにしてみてはどうかと思った。
次の伊豆高原でも若干の乗車があり、伊東ではかなりが乗った。
それにしても本当に車内が混むのに驚かされる。すでに僕の乗車している8号車はほぼ満席、前方の自由席もかなりの数が乗っており、90%くらいだろう。そして15時56分。踊り子112号は伊東駅をあとにしたのである。
JR路線に入り、特急らしい走りとなった。まわりの景色がうしろへ流れ、「ガー」というモーター音が車内に響く。しかし揺れはそれほど感じない。
僕は、リニューアル実施時に一部車両に自販機を設置しているという話を聞いていたので、さっそく車内を回ってみた。たしかに9号車のドアわきに、小さな自販機が設置されていたが、カルピスウォーターとお茶のペットボトルを200円程度で売っているだけだ。
▲一部デッキには自販機も▲ 車内販売の方が清涼飲料水など充実しているため、伊豆急下田と東京の2時間の間に乗客が席を立って自販機に押し寄せるとは考えられず、幾度となく訪ねてみたが、利用客はほとんどいなかった。自販機は作戦ミスだったような気がする。
いっそのこと、自販機を廃止してその部分を電話室にしてみてはどうだろうか。あまり充実していない自販機よりも、電話室のほうが「今どこです」と言えるのではないかと考えてみたりもする。
4時ごろ、宇佐美駅で「スーパービュー踊り子3号」とすれ違い待ちのため、運転停車(ドアを開かずに停車)した。停車してからまもなく、251系が通過していった。あちらの乗客もこちらも、ネクタイ客は少なく、みな観光旅行の装いが多い。
出発後、車内は会話の声で次第ににぎやかになってきたが、それは僕の座席と通路をはさんで反対側に座っていた子供たちの声だった。
子供たちは、座席を向かい合わせにして、何かゲームをやっていた。3年生3人と、弟の幼児1人で、車内販売がくるたびにいろいろなものを買って食べている。車内販売の係員はうっとうしそうな顔をしていて、僕もなぜ子供たちがそんなたくさんの小遣いを持っているのかが不思議だった。
さらに悪いことに、僕の弟がおかしな駄洒落を言ったので、その子たちが笑い出し、火に油を注ぐ結果になった。
聞いたことによると、この子たちは牧場のツアーのようなものの帰りで、周囲にもそれと同じような子どもたちが少しいた。家は八丁堀で、東京まで乗るという。
▲グリーン車の車内はガラガラ▲
たまに通路側の子が大きな声を出し、それにおどろいて窓側の少女が通路側の子の口をおさえ、通路側の少女が大きなうめき声をあげるから、窓側の子も声をあげるという悪循環で、世話役の大人も処置無しといった様子だ。さて、網代や来宮、熱海では乗降客が少なかったが、ここでは前5両の修善寺発と併結作業をするそうだ。残念なことに、僕はその時車内を回っていたので知らなかったが、5号車から7号車まで歩きかけたとたん、急に前につんのめったので驚いた。それが我10両が前の5両に連結した時だったようだ。
2.熱海からは満員に
熱海を定刻16時26分に発車すると、普通車はほぼ満席になった。JR東日本の特急料金が値下げされて、特急に乗りやすくなったからではないだろうか。
熱海の次は湯河原。ここでは観光客の装いをしたお客が数人降りた。伊豆急下田から1時間30分くらいなので、伊豆からの観光客が少し降りたのではないだろうか。
▲普通車座席▲ 湯河原を発車すると、踊り子112号はさらにスピードをあげた。時速120qくらいは出しているようだ。MT56ならではの低いうなるような音が車内に響く。
さて、ここで車内の内装について整理をしておきたい。
「踊り子」の座席は全体的に濃い緑が使用されており、中肘掛は跳ね上げ式である。だが、167系アコモ改造などとは違って座席のスプリングがまったくきいておらず、座席は硬くて座り心地が極めて悪い。何か、軽量化を重点とした構造のような気がする。観光特急なのだから、座り心地も良く考えてほしい。
客室仕切扉(デッキと車内を分ける扉)は従来どおりのグレーであるが、少し古くなっていて、車内の雰囲気が悪くなっている。話はややそれるが、ここで多客期に運転される「伊豆マリン」との比較を、僕の意見も含めて紹介したい。
「伊豆マリン」は快速のため特急料金が不要だから、「踊り子」に比べてかなり料金が割安になる。しかも座席のスプリングがきいていて、とても座り心地がよく、料金が安いと、何から何まで最高の列車なのだが、増発列車の形式で、駅の表示版には停車駅さえ表示されておらず、「知る人のみが乗る」という雰囲気だ。後日、駅に行ってみて驚いたが、常連ふうが各車両に数人ずつ乗っているだけであった。
この点から、「伊豆マリン」のほうが車内が優れているから、「踊り子」にも、座席や車内の雰囲気改良をするべきであると思ったがどうだろう。
▲「伊豆マリン」はこんなにきれいなのに、お客は???▲ さて、小田原に到着すると指定席から少しが降りたが、前方の自由席には少し乗った。
小田原は東海道新幹線や小田急線の駅として、いろいろな電車が発着しているために、各地域の利用客が結構降りると聞いたが、この踊り子112号も各車両から数人ずつが降りただけだった。小田急線ホームにはロマンスカーや普通列車9000形などが見える。あちらも「踊り子」並みに混雑しているが、設備の違いの差は大きい。
3.がんばれ踊り子
小田原を定刻発車した。目指す大船まであと一息である。「踊り子」は、完全な観光特急であるから、中間駅相互の乗客の流動が少なく、各駅より乗るお客が多いのはせいぜい熱海くらいまでなものだった。さすが観光特急であると思った。ま、座席は仕方ないがこれでも観光特急という、良いイメージが車内には沸きあがっていたし。
さて、大船に到着し、僕はいったん降りたが、車内に帽子を置き忘れたことを思い出し、あわてて車内に引き返した。だが、踊り子112号は発車してしまった。仕方なく次の横浜で降りることを決めた。
デッキで立っていると、車掌がやってきた。「特急券お持ちですか?」と聞いてきたので、荷物を忘れたことと、次の横浜で降りることをいったら、そのまま歩いていってしまった。本当はそのぶんの特急料金や運賃などをすべて払わなければいけないのに、少し気になったが、そんなことを考えているうちに横浜駅に到着した。各車両から十数人が降りた。さすがにここから乗る乗客はもうおらず、短い停車の後、すぐ発車していった。「踊り子」というのは、「スーパービュー踊り子」よりは設備が劣るものの、れっきとした最高の観光特急である。だが、「スーパービュー踊り子」と一緒に運用していく中では、今の185系の設備は改善したほうが良いと思った。だが、いずれ、185系に代わって新型車両が投入されてゆき、「踊り子」は「スーパービュー踊り子」にも負けぬ、良い特急の愛称として成長していくだろう。僕は「踊り子」を廃止するわけにはいかないと思っている。
それまでがんばれ!185系の「踊り子」!
以上、お楽しみいただけましたでしょうか。
長い時間、最後まで読んでくださいまして本当にありがとうございました。
この「踊り子」と兄弟の「伊豆マリンで伊豆を訪ねる」も是非ご覧ください。