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「伊豆マリンで伊豆を訪ねる」

2002年7月29日

僕が7月29日に大船と伊豆稲取の間で乗車してきた、快速「伊豆マリン」の論文(?)をここで紹介します。


快速伊豆マリンをご存じだろうか。
快速「伊豆マリン」とは、夏海水浴に行くお客が殺到するため、「踊り子」を助けて登場する快速列車だ。車輌は、田町区付属アコモ改造167系の8両編成が使用される。
最近、活躍の減っている167系だから、鉄道ファンには決して見逃すことの出来ない列車で、しかも運転日によっては「メルヘン」が充当されることもあるから、今日は何が来るか、ワクワクしてくる気分も楽しい。

そこで、この「伊豆マリン」に興味を持った僕は、7月29日、大船駅と今井浜海岸駅の間で試乗してきた。

1.お客は少なめ


7月29日、午前7時30分。大船駅3・4番線ホームには、113系や211系が入ってきてはすぐ、満員の通勤客を乗せて発車していく。
そんな時間帯の7時37分、113系などとは対照的に、お客を少しばかりのせた列車が入線してきた。それが伊豆マリン号だった。167系アコモ改造4両編成を2本併結して、8両編成による運転のようだ。
指定席を取った1号車に荷物を置いて、まず車内を一回りしてみる。
伊豆マリンは快速なので、特急券もいらないため、お得な列車だからさぞかし混んでいるだろうという期待に反して1号車は自分も合わせてざっと15人程度、2号車20人程度、3号車数人、4号車10数人の状態。指定席はだいたい45人くらいである。
自由席はもう少しばかり多かったが、これもあまり変わらない。

せっかく増発された列車にしてはさびしい限りだと思っているうちに7時37分となり、発車。
後ろでは大学生くらいの人たちが、さわいでいる。安くて朝いっぱい泳げるからこの列車を選んだに違いない。その他は常連ふうが数人、あと、後ろの小学校低学年くらいの女の子達3人が、車内を走り回ってうるさいといったほかはない。鉄道ファンらしきお客は自分以外、1号車には1人だけであった。
▲運転台裏のデッキはまるで展望室▲

伊豆マリンは大船車輌所を横目に次第に速度をあげ、やがて藤沢駅を瞬時に通過すると、速度はもう100qに達したようだ。
それにしてはデッキがあるためか、車内での騒音はいたって静かである。その証拠に、デッキにいくと、113系や165系などと同様のうるさいモーター音が聞こえてくる。

車内の内装についてだが、まず「踊り子(185系リニューアル)」と色調の違いが挙げられる。 リニューアルされた185系「踊り子」は、全体的に緑色のシートとなっており、全体的に明るさと快活さを売り物にしているようである。それに対して伊豆マリンは、暖色系を使用し、薄暗い雰囲気で、ゴージャス感を醸し出しているようだ。

新幹線を例に取れば、700系C編成と700系B編成の違いといったところである。

▲暖色系を使用した普通席▲
さて、ここで列車の設備について説明しておきたい。

先述したように、1〜4号車が指定席、5〜8号車が自由席となっている。トイレと洗面台はかつて全車両にあったそうだが、この「アコモ改造」は、偶数車輌のみトイレを装備していた。便器、ドア、洗面台は撤去されていたが、照明はそのまま残っており、よい休憩所になりそうだ(通風孔がないため、喫煙室には使えないだろう)。

さて、大船出発から33分、8時10分に小田原に到着した。同じ停車駅数の踊り子と比べて、数分ほど余計にかかる分が、最高速度100qで走ってきた証拠だろう。しかし、普通列車と比べると10分くらいを縮めている。後方の自由席から数人が乗ったがその他は特に変わったことはない。

ドアは165系と比べてかなり狭くなっていることに気がついた。家に帰ってから、そのことを調べてみると、167系は修学旅行用として製造されたため、広いドアは必要なかったらしい。

反対側の御殿場線ホームには115系が停車していたが、あちらの乗客はみょうにお年よりが目立つ。 そのとき、東海道本線上りホームに特急「富士」が入線してきた。あちらからは数人が降りたが、偶然115系と並んだため、「夢の共演」が実現した。

▲夢の共演▲
さて、小田原駅を8時11分、あとにした。車内はまったく変わりなく、ガラガラの状態。 小田原を出て再びトップスピードで快走する。周りの景色が流れ、「ガー」という走行音が車内を包む。しかし、ゆれはそれほど感じない。 167系はもともと修学旅行用に作られた車輌で、「ひので」「きぼう」は東京〜大阪間を走っていたから、列車酔いの子供が少なくなるようにゆれなくなるようにしたのであろう。列車は快調にスピードをあげ、早川駅を通過するころには110qに達した。

指定席に陣取り、しばしその魅力を味わってみることとした。
座席は茶色で、真中に赤と茶色の格子模様がはいっていた。座り心地はというと、113系の古い青色の座席と同じ、座席中にスプリングが入っているらしく、実にクッション性があって座り心地がいい。。 帰りに利用した踊り子号の座席とはまったく比べられない。伊豆マリンの座席を5段階評価で5とすると、踊り子は3にも満たない。
中肘掛がないのが残念だ。あればサービス向上に大きく貢献するだろう。

現在電化区間に初詣臨時列車などに使用されているE653系もこのように、座席内にスプリングを入れてみたらどうだろうかと考えたが、軽量化に挑むためには、スプリングはない方がいいから、仕方ない。
▲運転台上の列車種別表示板は「快速」▲
古い列車は、座席のスプリングがきいている。

8時24分の真鶴でも、若干の乗車があったが、空席をかかえたまま発車、湯河原も変わりないといってよい。
そして熱海到着。8時35分。伊豆マリンは後方からも1〜4号車からも数人ずつが下車し、指定席は1両ごとに10人程度、自由席は15人程度になった。

熱海までの定員が1割くらいをしめていたことになるが、「伊豆マリン」は一部のお客には、「普通乗車券だけで乗れてかつはやい列車」として扱われていたのではないか。
本来の意味である伊豆に行くための列車ではなく、ほぼ「東海道本線の快速アクティー(ACTY)の速いバージョンとでも扱われていたなら、少し伊豆マリンの意味自体がなくなったような気がしないでもない。

2.熱海からはゆっくりと


熱海を8時36分に出発した。
伊東線に入って、速度はぐっと落ちた。線路による影響もあるのだろうが、東海道本線内とはまったく比べられない。だが、古い列車が山の中をのんびりと走るのに乗ってるのは、乗っている自分達まで楽しい気分になれるから、悪いわけでもない。

▲サボ▲
伊東線に入って最初の停車駅が来宮である。8時39分の到着で、ここで2100系リゾート21とすれ違う。あちらは普通列車だから、あたりまえといえばそれまでだが、普通の利用客が多い。あちらには、海側の窓に面して座席が一列にのびている車両があって、海を思う存分楽しめる良い設備がある。

山岳地帯に入り、列車は山の中の勾配線区を走っていた。従来の153系「伊豆」は、少してこずったという話を聞いたことがあるが、167系に代わって今はその心配もない。

伊東線に入ると、レールのジョイント音「カカンカカン、ココン……」がはっきりと聞こえてくる。都会育ちの僕だから、いつもはレールジョイント音のない列車に乗りなれていて、ちょっとかわった気分になった。今考えれば、昔の騒音というのは激しいものだったのだ、ということを後刻実感させられる。

次の伊豆多賀ではほとんど乗降客はなかった。特急「踊り子」「スーパービュー踊り子」「リゾート踊り子」「シーリゾート踊り子」など、すべての特急が停車しないのはそのせいだろう。
網代でくだんの若者達がおり、宇佐美でも全車両合計5人くらいが降りた。

伊東駅に8時59分に到着、そこで僕の後部座席にいたうるさい子供達とその父母が降りた。
▲客室仕切り扉のデッキ側には座席種別紙を挿入できるところがある▲
ここでは9分間の停車をする。僕はホームに降りてみた。

車両の写真とサボ(上)を撮影したのち、車内をうしろまで歩いてみる。3号車は完全無人の状態で、自由席もかなり空席をかかえている。

まるで、いなかの第三セクター鈍行列車に乗っているような気分になる。

お客に不評なのだろうか。それとも、早朝すぎて利用客がどうしても少なくなってしまうのだろうか。そのあたりは部外者にはわかりかねるが、おそらく早朝すぎるからだろう。東京は6時58分とほぼ7時の発車だから、少し時間を遅め、8時〜9時あたりの発車にすればいいのかもしれない。 また、伊東からは、伊豆急行に数人いる、女性運転士が「伊豆マリン」を運転する。また、ここから車掌も女性となり、首都圏とは対照的だ。

さて、その話をしているうちに、伊豆マリンは出発のベルが鳴り始め、9時8分、定刻に伊東駅を出発した。

3.伊豆急行では女性のアナウンスも


「ご乗車ありがとうございます。この列車は伊豆マリン号 伊豆急下田行きです。1号車から4号車までが指定席、その他はすべて自由席です。指定席は、普通乗車券のほか指定券が必要です……」

伊東駅を発車してしばらくすると、女性の声でこんな放送が聞こえてきた。男性と比べて声が高いこともあるのだろうが、男性車掌とは比べられないくらいはっきりと聞こえる。
伊豆急行は、最近新たに養成した女性車掌をいれて、航空機のスチュワーデスのような柔和なサービスを目指したそうだ。車内精算を行うべく、車内を回っていたが、これだったら小学低学年くらいの子も、困ったときには安心して車掌に声をかけることができるだろう。
JRは、そのような設備は新幹線のグリーン車(SPSに限る)のみで行っているし、特急ではJR九州の「つばめレディ」などでしか行っていない。
特急では「踊り子」や「スーパービュー踊り子」などでそのようなことを取り入れればいいと思ったがいかがだろう。

海に近づいてきて、左側に海が見え、すぐトンネル……また海……というパターンを何度も繰り返しながら、伊豆マリンはなおも伊豆急下田へと向けて走りつづける。

伊豆急行にはいって最初の停車駅が城ヶ崎海岸である。城ヶ崎海岸は、伊豆急を走る特急はすべて停車しないが、ハイキングコースや海水浴場があるために、「海水浴客を運ぶ臨時列車 伊豆マリン」は停車するわけだ。 下車客は後方の自由席車が少し多めだった。先述したよう、そばに観光地があるためだろう。「伊豆マリン 」はこうした役割もある。 次の停車駅は伊
▲100系とスーパービュー踊り子「2本の並び」▲
豆高原で9時25分の到着。ここで運転手が交代したが交代相手も女性であった。

伊豆高原駅には工場があって、先頃引退した解体待ちの100系などが、(写真右)200系などにはさまれて留置されていた。また、「アルファリゾート21」「リゾート21」200系などの各車両が停車していて、おそらく出番待ちだろう。
伊豆高原には車庫があって、廃車寸前の100系や、駅から沿線写真らしく撮影することもできるから、ぜひ一度たずねてみていただきたい。

1号車の後方では、女性車掌と乗客が、切符のことでトラブルになっていた。むろん、電車の騒音がはげしい(トンネル内だから)から、あまり聞こえなかったが、5分ほどして切符をわたして、車掌はため息をつきながら1号車から出て行った。

次は伊豆熱川で9時35分だ。当駅から徒歩約3分の「バナナワニ園」などの園がたくさんある。伊豆観光の方もいるらしく、僕達の1号車からも数人が下車した。

翌日、改めて伊豆熱川をたずねた。駅から徒歩3分の「バナナワニ園」は、改札をでて、右側の階段を登ってすぐだから、とてもわかりやすい。ワニ、熱帯地域の植物などを温室で展示している。日本ではあまり見られない植物が多く、かなり楽しいが、残念なことに夏は温室展示室に入らないほうがいい。僕も暑くて、汗をふきふきの観覧であったから、冬に行くことをお勧めしたい(だが冬は伊豆マリンは運転していないので、もし伊豆マリンで行きたいならば我慢して夏にいくしかない)。

入場券は、「バナナ園」「ワニ園」「植物園」とセットで販売しており、すべて1枚で済むのがうれしいところだ。ワニ園のワニは、小さくて可愛いものもいれば、体長3メートルを超える巨大なワニもいる。 また、ワニを係員の指示に従って、小さいものを実際に触ってみることも可能だし、もしそれに挑戦するとあまり的確な言葉ではないが賞状がもらえる。

バナナ園のバナナは、もちろん食べることは不可能だが、植物好きの方には見逃せない。バナナ園には、熱帯の果樹なども多数展示されており、各果樹に詳しい説明の看板があることもうれしい。 植物園は、8つの温室に分かれて構成されていて、「オオオニハス」に乗る体験をすることもできる(もっとも、体重30kg以下の子供に限るため、子供と行くと面白い)。

4.伊豆マリンの将来

伊豆稲取に停車、数人のお客が降り、後方自由席に数人が乗り込んでいた。
目指す今井浜海岸まであと一息だ。

「伊豆マリン」は、下り早朝に東京を発車し、上りは夕方に伊豆急下田を出発するから、海水浴にもっていこいだ。後述する今井浜海岸は、駅を出てすぐに海水浴場があり、海の家も多数そろっている。今井浜海岸は「踊り子」などの特急は停車しないため、海水浴には「伊豆マリン」だけが東京方面から乗換えなしでいけるという、いたって便利な列車である。
しかも、指定席は特急券なしの指定券で乗れるので、「踊り子」などより指定券がずっと割安になるほか、自由席は普通乗車券のみで乗車できる。
東京発が早く、しかも伊豆急下田発が遅いため、利用客低迷につながるのであろう。

「伊豆マリン」に乗車してあれこれ観察したところ、「伊豆マリン」は便利でお得な列車であるにもかかわらず、出発時刻が早すぎることから利用客はかなり少なかった。
利用客を増やすためには、下りは出発時刻を1時間ほど繰り下げ、上りは出発時刻を1時間繰り上げれることで対処できよう。また、「往復伊豆マリンパス」のような割引パスを作る手もあり、さまざまな夢が描かれよう。

そして、さらに快適な新型車両を導入して、速度を向上すれば、出発時刻は遅くできて、伊豆急下田到着時刻は現行のままにできるだろう。登りは、伊豆急下田駅出発時間を繰り下げて東京駅到着時刻はそのままということができる。
「伊豆マリン」の将来の夢は、尽きることがない。

しかし、「伊豆マリン」の車両はどうなるのだろうか。
167系はすでに経年で、数年で使えなくなることは確実である。その際新型車両を導入したとしても、どのような車両になるのだろう。
車両を「踊り子」「スーパービュー踊り子」と同様の185・251系に統一することもできるが、それでは少しバラエティがなくなる。

E351系は「湘南新宿ライナー」でまれに走ることがあるし、かつ振り子式機構も導入されている。しかも、基本編成は8両だから、167系のように併結せずに1本で済む。

「伊豆マリン」は便利でお得な列車であると、僕は確信している。そのためには、出発時刻の改善と、列車のスピードアップしかない。
いずれ新型車両が導入され、「伊豆マリン」はさらに良く、さらにお得な列車として成長していくであろう。そのときまでがんばれ!167系アコモ改造8両編成!


以上、お楽しみいただけましたでしょうか。
長い時間、最後まで読んでくださいまして本当にありがとうございました。
この「伊豆マリン」と兄弟の「踊り子112号鉄の足!」も是非ご覧ください。

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