
抜け蔵は9月14日、「こまち」5号に東京から秋田までとおして乗車してきました。そのときの紀行文を掲載しています。
1.東北新幹線内は超特急
東北新幹線の発着する東京駅は2002年9月15日の朝、連休2日目にもかかわらずにぎやかだった。
東北新幹線ホームは特にホームが大きい。だが、これは単に大きな特急電車だけの出入りしかなく、普通列車の出入りがないからそう見えるだけなのだ。実際、新幹線は航空機と対抗するべく、スピードを武器に運転されている。
▲普通車の車内は黒系を基本とした珍しい配色▲ そうした3連休の中日である、8時10分、盛岡方からE2系が堂々と入線してきた。これは仙台からの回送であろう。この列車がこれから私たちの乗車する「やまびこ・こまち」5号となるのだ。
途中から「こまち」がE2系と併結して現れた。ピンク色のラインは、女性的なイメージでとても良い塗色だ。
すぐドアが開いた。各乗車口から15人ほど待ち構えていたお客が乗り込むと、待つほどもなくドアが閉まり、8時12分定刻に発車した。自由席は各々6割くらい、指定席は7割弱、グリーン車は5割ほど埋まっている。
実をいうと、僕はこの1日前に出発することを計画していた。だが、この日を選んだのは、指定席がとれなかったためで、3連休の中日の出発となってしまったが、かなり混雑していて少し驚いた。
東京のビル街などを横目に、こまち5号は一度地下に入り、上野駅を通過した。上野駅のホームはあまり人気がなかった。
地上へ出て埼京線と並行しながら高架線を走る。大宮方面に向かう205系などを追い抜きながら走っているうちに大宮駅に到着した。さらに10人ほどの乗客が乗り込んできた。大宮を出て新幹線らしい走りとなる。まわりの景色がアッという間に後ろに遠ざかり、「カー」という走行音が車内に響く。しかし、揺れはほとんどない。
大宮発車時点で自由席9割、指定席9割強、グリーン車もほぼ満席という状態だ。それにしても本当に座席が埋まっているのに驚く。
▲車端部には大型荷物置き場が▲
デッキは在来線の大きさとは思えないほど広々としている。車端部には大型に持つ置き場があることから、冬にはスキー客で混みあうことが予想できよう。
トイレは真空式洋式トイレを採用していて、においが少ないのが嬉しい。だが、だれが座ったのか分からない便器に腰掛けるのはたまらないというのがそのときの印象であった。最近の新鋭車両は洋式トイレを完備しているが、和式トイレも1編成に2つくらいで良いので装備してみてはどうかと思ったがいかがだろう。宇都宮に到着すると、自由席はついに満席になり、座れなかった人はデッキに立つようになった。なぜこんなに座席が埋まるのかどうかは僕にもわからない。
宇都宮を出ると、E3系は275qの最高速度を出し始めたらしい。まわりの電柱がものすごいスピードで遠ざかる。そのときの動画はこちらからご覧になれる(4秒間、wmv形式188KB)。
指定席に陣取り、しばしその魅力を味わってみることにした。
黒いシートは、新幹線としては珍しいだろう。だが、頭にあたる部分がクッション性があり、気持ち良い。加えて、E2系などに比べて揺れがとても少なく、歩くときに転ぶ心配もなくうれしい。
さて、速度もトップスピードに達したようなので、僕は車内をひとまわりしてみた。
▲自由席の肩部には握手が設けられている▲
まずは16、17号車自由席。かなりのお客が座っていて立客もいた。座席色は指定席と色違いで、青系を基調としている。ただ、自由席には座席肩部に握手が設けられていて、立客はそこに手をかけていた。ここからも自由席の混雑振りがうかがえる。これは、E2系やE4系では見られない、E3系ならではの設備だ。次は11号車グリーン車を訪ねてみる。さすがに普通車よりは静かなものの、こちらもほぼ満席だ。
座席は指定席と同じ黒系だが、頭部に大きな枕がつけられており、座り心地が良い。リクライニング角度もゆったりとしていて、本当にゆっくりとした旅が楽しめそうだ。
座席背面も見て驚いた。テーブルが大理石模様になっているのだ。高級感がより高まると思った。
▲グリーン車背面は大理石調のテーブルが▲ さて、発車から約1時間、9時59分に仙台に到着した。後方の自由席と指定席から数人づつが降りて、自由席を含めて同じくらいが乗車した。「やまびこ」の混み具合も影響するのか、「こまち」で仙台までの利用客も意外と多い。
隣のホームには、おりよくE4系が停車していた。もしホームに降りることができたら、「輸送力のE4系」「在来線直通のE3系」と、主力同士のツーショットになる。
仙台を出て再びトップスピードにあがる。山間部に入ってトンネルが増え、めぐるましく明と闇が繰り返されていく。外に出ているときは、黄色く色づいた田園地帯を縫うようにして走っていく。最近は、指定席及びグリーン席の検札を省略しているそうだ。車掌の持つ機器に、「○の席には××様が座っている」などの情報が入力されているからだろう。そのとおり、自由席を訪れると手際よく検札をこなす車掌が見えた。
自由席の利用客がいっそう増えたので、車掌も戦闘状態だ。2両分のお客の切符をすべて確認すると、フーッとため息をつきながら車掌室へ戻っていくのだ。
車内販売はNREが11号車のデッキを基地に動き回っているが、出発から1時間が過ぎたためか、飲料やお菓子が売れているようで、こちらも戦闘状態が続く。仙台停車時に新しい品の補充もあったようで、11号車デッキにはボール箱が数個積み上げられていた。しばらくしてE2系とすれ違ったが、その時異変に気が付いた。普通、赤いはずの帯がピンクなのだ。後日調べてみたことによると、八戸開業のJ編成50番台で、
現在試運転中だったとのことだ。
▲網棚はすっきりとしている▲ E3系は、在来線の大きさを基準に作られているためか、通路も狭いようで、車販ワゴンの横をすりぬけるのはとても難しい。車内販売員が足をとめてお客に品物を渡している間は、後ろに何人か行列ができるほどだった。
そして10時47分、盛岡到着。「こまち」の方からも多くの乗客が降り、自由席50人程度、指定席100人程度 グリーン車10人弱となった。
盛岡までの利用客もかなりいたが、秋田直通の「こまち」なのであるから、盛岡までの利用客には「やまびこ」に乗車したほうがJRとしても良いのではないかと思うが、現在「つばさ」も含めて東北新幹線内のみの利用客がいるそうだ。
たしかに僕はE2系と比較してみて、どちらかというとE3系のほうが、座席の頭部がやわらかい、揺れないなどの理由で好きなので、他の利用客もきっと「こまちは座席が良い」といって好んでいるのだろう。
2.田沢湖線はのんびりとした走り
盛岡からは「こまち」単独で、発車する。盛岡でいったん向きがかわったため、車内の所々で「ガチャン、ガチャン」と、利用客が座席を回転させる音が聞こえてきた。
盛岡を出発すると、「こまち」は東北新幹線の高架を降り、ゆっくりと田園地帯を走り始めた。踏み切りもある。風景にも速度にも違和感を感じるが、今までが違いすぎたからだろう。さて、秋田新幹線に
はいって最初の停車駅が田沢湖駅。到着案内に「ホームが1段低くなっておりますのでお気をつけください」の放送が在来線にはいったことを実感させる。
▲座席下はあいていて足をのばせる▲
田沢湖駅構内には観光名所を案内してくれるところもあるようなので、観光にはもってこいだろう。また、紅葉の最盛期には「こまち」の車内からも見ることができるそうだから、今度は秋に訪ねてみたいとその時思ったのが印象だった。
やはり観光客なのか。各車両から全体の5割が降りていった。秋田新幹線は単線で、途中ですれ違い待ちをするべく、在来線の駅で数分間停車することがあった。この「こまち」は刺巻駅で3分ほど停車しており、車内では車掌の声で「上り列車を通すために数分間停車いたします。ご了承ください。」という放送が流れていた。
次は角館で11時38分。また10人ほどが降りたが、ふと見るととなりのホームには急行「もりよし」が停車していた。2両で各車両ごとに違う塗装がなされている。あちらはほぼがらがらの状態だった。「こまち」はさすがに東京〜秋田という長距離を走るため、どうしても時間がかかろう。僕の乗車している「こまち」5号も、東京8時12分〜秋田12時25分と、正味4時間13分。
そのためにJRも対策を練っているようで、1999年から「こまち」と併結する「やまびこ」をすべてE2系にし、東北新幹線内は275qの高速で運転することによって所要時間を短縮しているとのことだった。窓の外は森。たまに川があって、「こまち」はそこをわたっていくのだ。しかも左側は田園地帯と山。もう新幹線ではなく、在来線の特急に乗っているかのようだ。
お昼時が近づいてきて、車内販売員は頻繁に車内を動き回るようになった。到着まであと40分程度なので、「こまち」の車内で昼食にしようという人たちがいるのだろう。東北新幹線内でもこのようなときがあったから、車内販売員も単にワゴンを押していればいいというわけではないというのを実感させられる。
▲三連休パスの切符と特急券▲
僕は、この旅行の時三連休パスを使用した。これは、秋田新幹線を全線完乗しても6000円だからである。僕がこれを購入したときはセールで4000円に引き下げられており、とても得をした気分だった。
しかもJR全線乗り放題というお得な切符である。中高生12000円、大人28000円であるが、大人料金で東京〜仙台を往復するだけで、正規より安くなってしまうので、お得というほかはない。だが、三連休のある日しか販売していないので、いつも駅の構内のチラシなどに目を配っておくと良いだろう。
その上、乗車する前日までは1回に限り、指定・グリーン席などを変更できるという、もう最高の切符で僕にとっては「三連休パス」さまさまなのだ。もし「三連休パス」がなければこの旅はあきらめていたに違いない。さて、そんなことを話している間に「こまち」5号はゆっくりと田沢湖線内を走り、11時51分。大曲に到着した。
3.ラストランは奥羽本線で
大曲でまた12人ほどが下車すると、後方の自由席に秋田までの短距離利用客が数人乗り込んでいた。また、ここでまた向きが逆になる。秋田までは約30分程度、わざわざ座席を回転する利用客はほぼいなかった。大曲駅を発車すると、列車は田園地帯に囲まれながら走り始める。空には、秋田空港着陸を間近に控えた航空機が低く飛んでいるのが遠くに見えた。
田園地帯が過ぎると、今度は左右を木に囲まれながら走る。刻一刻と景色が変化するので、一度も窓から目を離せなかった。
▲サードレール▲
また、この区間の特徴としてサードレールが挙げられよう。サードレールとは、在来線の線路の外側にもう1本線路をしくことによって新幹線と在来線を同じ線路で走らせることができるものだ。この区間は交流20000Vのため、「こまち」は交流20000Vでも走行できるようになっている。
途中では紫の帯を巻いた701系などと何度もすれ違うのが在来線に乗り入れていることを実感させてくれる。「こまち」は、在来線直通のランナーとして、大切な役割を果たしていると僕は確信している。時間帯も使い勝手が良いし、秋田駅で特急「かもしか」などと接続していることがありがたい。
これからも、いろいろなところで「こまち」は活躍してほしく、今後の活躍に期待したい。
そして 12時25分。「こまち」5号は4時間13分の長旅を終えて秋田に到着した。東京から東北新幹線、田沢湖線、奥羽本線と3つの路線を走ってきたことになる。ドアが開くと、各乗車口からお客が吐き出されるようにして降りていく。隣のホームには701系が停車していて発車を待っていた。その701系と並ぶE3系はとても堂々としていてとても格好良かった。
空になった列車は整備を済ませると、すぐまた12時45分発「こまち」16号となって東京に向かうのである。
いつもごくろうさん!「こまち」号………以上、お楽しみいただけましたでしょうか。
長い間ありがとうございました。さて、次は僕が秋田から青森まで、「かもしか」でゆくたびを紹介します。こちらをクリックしてください。なお、僕の母であるRimmerさんのレポートもございます。こちらをクリックして下さい。