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2006/3/13


・最果ての海を見に行こう

あまりの寒さに、手袋とマフラーONと、防寒対策万全で行くことにした。
そのほか、稚内駅をウロウロしていたら、かなり古い感じの車が入ってきた。さすが最果ての地、付近に自動車屋がないのだろうかと、かなり失礼なことを思ったりもしたが、その人たちの会話をきくかぎりでは、いわゆる「クラシックカーファン」の人々だったらしい。
まぁ、クラシックカーとはいえ、やっぱり寒冷地仕様なんだろうなぁ〜。

さて、これからまだ3時間近く時間があるので、とりあえず駅前の観光案内所へ行き、手近なところでどこか良いところはないか、と聞いてみた。
すると、歩いていける範囲でなら駅を出て20分くらい歩くと海が見える場所がある、と言われたので、言ってみることにした。

稚内の駅から少し歩いたところ。雰囲気は観光地の昔ながらの街並みを残す場所と言った感じ。 見かけからしてかなりクラシックな感じの自動車が走ってきた。
札幌全日空ホテル。何だか妙に都会っぽいイメージはいささか場違い。 そして防波堤。刑事ドラマでもよく出てくる場所だった。夏は人がいるらしいが、今日は誰もいない。

稚内の駅から離れて防波堤のところで左折し、ひたすら宗谷湾の見える場所を目指す。
歩いていて気がついたのは、道路の行先を示す看板に、ロシア語の表記があったこと。最果ての地だし、北方領土とも近い稚内、ロシアの人も多く来るのだろう。
何だかそれが妙に旅情をかきたてたが、それにしても今日の稚内は寒い。やっぱり所詮は都会育ちの私だからだろう。

途中、旅行者と思われる中年の女性に声をかけられた。
彼女は東京に住んでいるそうだが、仕事で稚内にはよく来るのだという。
1月に来た時は-12度で、おまけに吹雪いていたので、ホテルに着いた時は心底ほっとしたものだ、と笑っていた。

-12度なんて、どんだけ寒いのか全く想像もつかない。それなのに暮らしている人々がここにはいる。
何となく不思議なことだ。

稚内から歩いて20分ほどで、ようやく海の見える場所に到着した。

・最果ての湾、宗谷湾。5分間の悲劇。

さて、最果ての湾、宗谷湾の一角に到着した。

思わず感激して、海岸の方に走ろうとしたら、ズホッ、と音がして、体ごと雪に埋まってしまった!
あわてて雪の上に手をついて上がろうとするが、周りの雪も踏み固められておらず、やわらかいので手をつこうとすると、ズホズホと崩れてしまう。
うへぇ、こんな誰もいないところで凍死なんてイヤじゃあ〜〜(TT_TT)。

もがいたり暴れたりして、必死に雪を掻き分けて5mほど歩くと、ようやく人が踏んだ跡を発見。
よし、あそこなら大丈夫だな。
手をついて何とか上がる。ふぅ、死ぬかと思った(マジで)。

と、思わぬアクシデントに見舞われたものの、何とか這い上がって、ようやく海をゆっくり見られるようになった。

しかし寒々とした海だ。 私がハマったところ。5分間とはいえ、マジで恐怖だった。
海の見える場所から防波堤を望む。 海を広角寄りに。誰もいない、静かな海。

20分間くらい、いろいろなことに思いを馳せてみたりなどしながら、その場で過ごした。
いつも見る海は、夏の海、つまり「熱」の感じられる海であることが多かったが、これほどにも寒々とした「海」は、本当に新鮮だった。
いつか機会があれば、本当に「最果て」のノシャップ岬にも行ってみたいなぁ。

気がついたら、時刻は16時を回っていた。いつの間にか長い時間が過ぎていたようだ。
そろそろ折り返し「スーパー宗谷」4号の発車も近くなってきたので、稚内へ引き返すことにした。

・まさかの事態が発生…?
スーパー宗谷4号 稚内1653→札幌2151

さて、稚内に着いたのは16時20分頃だったが、10分と立たない間に改札が始められ、早々に車内に入れたので助かった。
そして、発車も16時53分、定刻。何もかもが予定通り進んでいる。

帰りは運良く、行きとは反対側の席を確保できたので、最初は景色を見たりしてのんびり過ごしたが、夜になってきて車窓が見えなくなってきてからは、例によってヒマになってしまった。

利尻水道をかすめて、一路札幌を目指す。

そろそろ、旅行も3日目だし、とりあえずこれまでかかった費用の計算でもしておこう。
今まで弁当やら飲み物やら云々にかかった費用は、全てメモしてある。
それを最終的に計算し、お金がどれだけ残っているかを確かめるだけだ。

「1日目」の欄から、順に計算して行き、「3日目昼食」まで到着し、
3日間に使った最終的な額が、私の前に、数字として現れた。
私の心境ががらりと一変したのはその時であった。

・いかに生き抜く?

残金1760円―――。
それが、私の目の前に、こつ然と姿を現した数字だった。
先ほどまでのルンルン気分なんて、キハ261系の排気ガスと一緒にどこかへ吹っ飛んでしまったかのようだ。
まさか、こんなことになろうとは。
10000円も持って来たのに、それがあっけなく3日間で散るものか。

改めて、各支出の欄に目を通すと、そこには、
「コーヒー 300円」、「釧路漁礁 1000円」、「ニシンカズノコ弁当860円」、「アイス 300円」など書いてあり、
明らかにいらないと思われるものを私が買いまくっていたことが判明したのだ。

旅行はあと2日間残っている。その間、一日に使える全額(食費込み)が、わずか630円とは…。
5日目は昼には家に戻るが、「ぐるり北海道フリーきっぷ」の通用範囲は東京都内まで。蒲田から540円の運賃を払って家に帰らなくてはならない。
それを差し引いて残金は実に1220円である。

こうなったら非常用に持って来た3000円を総動員するしかない。しかしこれを引き抜いたら、私の貯金箱はほぼ空っぽ同然だ。できれば使いたくない。
今夜の夕食、明日の3食、あさって1食、計5食。残金1760円として、1食にかけられる費用は352円という計算だった。

ということで、今晩の夕食は急遽抜きということに決定。稚内で買ってきた、「夕張メロンキャラメル」と、300円…、これも今となっては恐ろしく高く感じられるが…、その値段のコーヒーだけで夕食である。ホテルで水筒にいれてきたお茶はとっくに底をついている。

今晩の夕食はこれだけで済ます。もちろんおなかいっぱいになるはずがない。 コーヒーと座席が不気味に映りこむ窓。きわどい事態への突入を象徴しているかのよう。

冷たく冷えたビールに、おつまみ、温かいコーヒーなど、いかがでしょうか?

車内販売嬢が動き回る車内。こういうときに限って、回りのお客さんは、いっぱい買うものだ。
いや、普段は目につかないのだろうが、それが際立って目につく。ええい、イライラさせやがって。

これから、私の極端な切り詰め生活が、約1.5日間続くことになる。その「ケチケチ生活」は、「スーパー宗谷」4号の中で幕を開けた。

22時5分、「スーパー宗谷」4号は、予定より14分遅れで札幌駅に到着。
しかし、あまりのショックと恐怖に、その晩は撮影もせず、早々とホテルに入ったのだった。

〜 4日目へ進む 〜


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